世界で一番素敵な誕生日を君に…

 

 

 

 

 

Thanks for birth

 

 

 

 

 

 

 

「クッキーの生地に塩を混ぜてどうするんだ!この馬鹿!!」

「な!?そういう貴様だってイチゴのヘタ取りに時間が掛かってるじゃないかっ!!」

「アスラン?イザークも…こんな朝からなにやってるの…?」

『キラ!?』

 

馬鹿イザともめてる間に現れたのはかわいいかわいい俺の(強調)キラ。

イザークの馬鹿が大声出したりするから起きちゃったじゃないか…

せっかくよく眠るように昨日…というか、今朝方まで2人がかりでヤったっていうのに…

 

「キラ…その…腰は平気か…?」

「え、あ、ぅん…なんとか…」

 

なんかいいムードだし…イザークの癖に・・・

邪魔してやる・・・っ

 

「きぃら、起きたのなら俺におはようは?」

「…ここで?」

「別に恥ずかしくなんてないでしょ?」

「ぅ〜〜わかったよ…おはよ、アスラン」

 

ちゅっとかわいらしい音が鳴る。

キラからのおはようのキスは小さい頃からの習慣。

思ったとおりイザークは固まっている。

ふふん。ざまーみろ。

 

「あ、あ、あ、あ、あすらぁ〜〜んっ!!」

「なにかな?イザーク」

「しらばっくれるなぁ〜〜っ!!き、き、き、きさま!なぜ貴様だけ

挨拶のキスが唇なんだ!?」

 

イザークの怒る視点はそこなのか…

 

「そりゃあ、俺とキラは幼馴染だし」

「そんなことは知っている!!俺が言いたいのは…っ」

「はいはい。お前には頬なのに俺には唇ってのが気に入らないんだろ?」

「わかってるなら…っ!!」

「でも夜のはともかく、朝の挨拶は駄目。」

「キラっ!!」

「は、はいっ…?」

「お前はどうなんだ!!」

「ふぇ…?」

「言ってやって。キラ」

 

いきなり話を振られて首を傾げるキラに助け舟。

 

「どうして俺にしか唇にしないのか」

「ほう…是非聞かせてもらいたいものだな…」

 

イザークの声が1オクターブほど低くなる。

…脅してどうするんだよ…

 

「イザーク、あれほどキラをいぢめるなって言ったろ?」

 

いきなり聞こえた第三者の声に俺たち3人は驚いて振り返る。

 

「ミゲル〜〜」

「こら!待てっ」

 

助かったとばかりにミゲルに助けを求めるキラとそれを追いかけるイザーク。

いつものこととはいえ、除け者にされていると感じるのは俺の気のせいだろうか…?

 

「イザークのばか〜っ」

 

…ミゲルの後ろからそういうこと言ってもかわいいだけなのになぁ…

でもイザークは馬鹿だから。

 

「キラッ!!ミゲルの後ろから出て来いっ!!」

「や〜だ〜」

 

キラとイザークの言い合いにため息が零れる。

オコサマ同士はこの際放っておこう。

イザークも最初から役に立つなんて思ってないし。

ミゲルもオコサマの面倒を引き受けに来てくれたみたいだし。

続きをするなら今のうちだな。

 

「ミゲルっ!キラをこっちに渡せっ」

「…だってさ、キラ。渡していいか?」

「だめぇ〜〜っ」

 

ミゲルとキラとイザークの漫才に耳を傾けながら俺は作業を開始した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、これで終わり。」

 

言葉とともに輪切りのイチゴに文字を入れたものをケーキの上に飾る。

小さなイチゴにチョコペンで文字を書くのは骨が折れたけれど、キラが

喜んでくれるのなら俺の骨なんて安いものだと思う。

 

「アスラン!アスラン!!なぁに?いいにおい」

 

甘いにおいに誘われてか、キラが後ろから飛びついてくる。

 

「キラ。ミゲル達は?」

「チェスしてる。眺めてるのつまんないんだもん」

 

どうせキラをいぢめるのに飽きたイザークがミゲルに挑んだんだろうケド。

めったに勝てないのに…

ミゲルはああ見えてチェスが強い。

たぶん引っ掻き回すのがうまいんだ。

 

「キラはチェスわからないもんな?」

「わからなくてもいいもん!それより、何作ってたの?」

「何だろうね?見てごらん」

 

キラと場所を交代してケーキを見せる。

ケーキにはイチゴで飾った『HAPPY BIRTH DAY TO KIRA

 

「あ、すらん…これって…」

「今日、誕生日だろ?誕生日、おめでとうキラ」

「あり、がとう…っ」

 

びっくりしたのと、嬉しかったのが一緒にきたのか、キラは綺麗なアメジストの瞳から

ぽろぽろと涙をこぼす。

その涙が勿体無くて、俺はキラの目じりにキスをした。

 

「キラ、生まれてきてくれて、俺と出会ってくれて、ありがとう…」

「ぼ、くもアスランに会えてよかった…っ」

 

キラからぎゅうっと抱きついてくる。

そんな仕草が可愛くて、俺はキラを抱きしめようとしたんだけど…

 

「キラッ!俺もお前に会えたこと、感謝している」

 

…イザークとミゲルに奪われた…

くそぅ…

 

「きぃら、俺も嬉しい。キラに会えて。キラに会えたから今の俺がここに居る」

「うん…うん…っ…3人ともありがとう…っ」

 

…………でも、キラの嬉しそうな顔が見れたから、今回のところは許してやってもいいかな…

 

 

誕生日、おめでとう。今まで以上に幸せにしてあげる…